
助監督 園田隆二
助監督として4年目のシーズンが始まります。藤原監督の下での指導も2年目。今年こそはこのところ遠ざかっている全日本学生優勝大会、全日本学生体重別優勝大会の2つの団体戦で、学生日本一を奪回したいと思います。
今年は「非科学的な練習」をテーマに、学生達への指導を繰り広げたいと思います。近年、科学トレーニングを重視する姿勢はあらゆるスポーツ界で定着してきています。しかし、これは「記録」を求める競技には最適ですが、柔道のような格闘技、いわゆる対人競技の場合、優先するのは相手に立ち向かう気力だと思います。まずは、それが整って、次の段階で科学トレーニングに入った時、効果が倍増します。今の学生たちは残念ながらそのレベルまで達してはいません。柔道の「技」を生かすために、まずは走る。基礎体力を向上させるのが基本。そのベースがない者は、「理不尽」と言われるくらいの練習をして、意識を上げる。そこから全てが始まっていきます。
全日本柔道連盟では強化コーチとして女子の軽量級、48`と52`の2つの階級を担当していますが、北京五輪でも活躍するであろう谷亮子選手は、とにかく体力がすごいです。トレーニングは砂浜や坂道、アップダウンのある山道などをどんどん走っています。今年の9月には33歳になる彼女ですが、その基礎体力、意識の高さは日本の強化選手の中でも抜群です。それが最終的に競り合いになった時の勝負強さ、度胸の良さにつながっています。その姿勢を学生たちにも学んで欲しいと思っています。
昨年は2つの団体戦はいずれも3位でした。優勝はいずれも国士大です。明大の選手は勝つ可能性を持っているレベルまで達していると思いますが、本人達が己を信じられずに「勝てるのかな?」という疑問を抱えた感覚で試合をしていました。国士大の選手をみると、全員が「必ず勝つんだ」という信念を持っているように感じました。この意識の差が勝負に出ていた、と思います。恐らく昔の先輩方は、今の逆の立場で戦えていたのではないでしょうか。1度優勝すれば、この疑問は解消出来ると信じていますが、結果が出ていないことで、また気後れする。この悪循環を今年こそ、はね除けないと、と思っています。
また、選手個々が自分自身を良く知って、普段の練習から試合を想定したけいこをすることが大事です。自分が一発で一本が取れるタイプなのか、それとも5分間攻め続けないと勝てないタイプか。地力で相手を上回ることが出来ないなら、どうやって失点を抑えるようにするのか。7人の中での自分の役割を理解して戦えるようになれば、チームは自然と変わってきます。昨年は個人戦で学生王者が2人出ました。講道館杯などの一般の試合に選ばれている選手もいます。力は徐々についていると確信しています。
競った時に強い明大の伝統を復活させるために、今季は一本取りや1分げいこなどを多く取り入れようと思っています。学生の間は質より量。どんどんけいこをしていき、その中から自分のスタイルを確立していくしかありません。そこで最後に差がつくのが、言い古された言葉ではありますが、「根性」です。
今の国際ルールは延長に入ると、効果でも反則でも先にポイントを挙げた方が勝ちになるゴールデンスコア(GS)方式です。外国人はそこで勝つための体力を十分鍛え、必死できている。今の日本選手はその必死さで劣るように感じます。それは明大の学生たちも同様です。「柔よく剛を制す」が柔道本来の極意ではあります。しかし、今の柔道は「技」だけでは「力」に押さえ込まれてしまいます。技の勝負を挑むために、ルールに勝つために、そして学生自身に自信をつけて根性を植え付けるために、今年は彼らの「体」を鍛えに鍛えようと思っています。

助監督 猿渡琢海
助監督を拝命している猿渡です。私は藤原監督の就任とともに、この責任有る役職に着かせていただき、2年目を迎えます。日本中央競馬会に籍を置きながら、昨年の6月からは寮監として、学生たちと寝食をともにしています。助監督というのは、監督をサポートするとともに、「鬼軍曹」として学生を鍛える役回り。とくに最上級生に、「自分たちが中心なんだ」という意識を植え付けるために、ヘトヘトになるまで練習をさせています。
現在の学生柔道界は、重量級の有力選手をそろえた国士大の全盛期が続いていますが、その「1強時代」を崩し、7年間遠ざかっている全日本学生優勝大会の優勝旗を奪取し、明大柔道部の名を今一度全国に響かせることが至上命令であり、また、全国で応援してくださっている諸先生・諸先輩方にその報告をすることが私の役目だと思っております。
私が4年生の時は、吉田秀彦監督の下で優勝しましたが、その時は秀島大介助監督が毎朝寮での朝トレから見てくれました。棟田康幸(現警視庁)、矢崎雄大(現了徳寺学園職)らがいて優勝した時には、吉田元監督が寮にいました。そして、今、私は学生たちに「優勝する喜び。つまり、勝ったときのそれまでの苦難・苦痛が全部気持ちよさや悦びに変わるあの感触」を味あわせてやりたい。それが今私に出来る一番の「恩返し」だと思っています。
具体的な強化のポイントは、重量級の育成です。これまで学生王座に就いていた時には、必ず大事なところで「一本」をとれる柱になる選手がいた。しかし、今はその大黒柱が不在。その柱を育てあげることが最重要課題です。
最近は100`級の選手が超級の選手を抑えて全日本選手権で勝つように、ただ大きいだけの選手は通用しません。現代柔道の中では、動ける重量級でないと勝利を手にすることは出来ない。昔のように力で投げるのではなく、スピードがあり、相手を動かして制する。OBの棟田をはじめ、井上康生(綜合警備保障)や、鈴木桂治(平成管財)、石井慧(国士大)らの日本を代表する選手は、まさにその動ける重量級のお手本です。
私は、学生たちには「1人の選手を目標に当てはめるのではなく、いろいろな選手を見て、自分に必要ないいところを真似なさい」と指導しています。釣り手が起用に動かない選手は井上選手の釣り手を、足技が苦手な選手は鈴木選手の動きを。それぞれが目指す柔道を念頭に置き、他人とは違う、自信を持って試合の出来る「自分の柔道」を確立することに取り組んで欲しい、と思っています。
そのためにも、自分に厳しく出来る「心」を選手たちには持たせたい。部内に風邪が流行って何人も休んでいたら、自分も休むのではなく、「俺はその間に進歩していこう」と考えて欲しい。見えないところで頑張った者が、他人に差をつけることが出来ます。明大柔道部の部員は仲間であるが、ライバル。なれ合いになるのではなく、切磋琢磨する姿勢を築き上げる。学生大会で勝つことが最終目標ではなく、世界選手権、五輪を目指して前に進む高い意識を、学生たちにも、そして私自身も大事にしてやっていくつもりです。
寮監として、寮に入って感じるのは、まだ、当たり前のことが出来ていないという現実です。靴のまま、室内に入ったり、夜中に騒いだり。遊びたい盛りなのは分かりますが、まだ、気持ちがしっかりしていない選手もいる。今は近所の人たちにきちんと挨拶をさせたり、寮の周辺の道路などを掃除させたりして、「礼に始まり、礼に終わる柔道の精神」をもう一度、徹底させています。 「頭を垂れることを忘れた者に成長はない」。心と体を鍛え上げた時に、何物にも代え難い誇りが生まれる。そのことを学べる場としての明大柔道部を作っていきたい、と考えております。
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